ド派手な「風俗広告トラック」は街の風景か、単なる害悪か? 東京都の規制強化にちらつく役人の浅知恵、曖昧な規制は表現の自由を侵害する
規制は2011年から

こうして定着した広告宣伝車に対して、東京都が東京都屋外広告物条例の施行規則を改正し、規制へと乗り出したのは2011(平成23)年10月のことであった。都議会議事録によれば、その理由はこう記されている。
「広告宣伝車による広告の中には、昨今、公序良俗面に抵触するのではという指摘を受ける例や、過度に鮮やかな色や模様を用いたものが見受けられ、まち並みの良好な景観形成への支障となる事例が生じており、都民からの批判も招いております。このため、本年3月に東京都屋外広告物条例の施行規則を改正し、10月1日から広告宣伝車にも、いわゆるラッピングバスなどに適用している制度を導入いたしました」(2011年11月1日都市整備委員会、永島恵子景観・プロジェクト担当部長の答弁)
条例の「施行規則」とは、議会で成立した条例を実際にどのように運用するかを行政が定めたものである。いわば、内規にあたるものだ。これによって、広告宣伝車は都から許可申請を受けなければならなくなった。
ただ、現在も行われているこの制度はかなり奇妙なものだ。施行規則では、都に許可申請をする前に東京屋外広告協会の審査を受け、合格しなければならないとされている。広告宣伝車だけでなく、バス・電車・タクシーの車体広告デザインもだ。同協会のウェブサイトでは、審査を次のように説明している。
「(公社)東京屋外広告協会は、東京都屋外広告物条例に則り、東京都内を走るバス、電車、タクシー、広告宣伝車等の車体利用広告デザインの自主規制による審査を行っております。屋外広告物条例上の規制は、面積等を規制することは可能ですが、広告物のデザインまで規制することは困難であるため、業界内部による適切な自主規制により、良質な広告物を誘導するものです。(※都営バス、都営地下鉄は別の機関にて審査)」