ド派手な「風俗広告トラック」は街の風景か、単なる害悪か? 東京都の規制強化にちらつく役人の浅知恵、曖昧な規制は表現の自由を侵害する

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東京のあちこちで見かけるアドトラック。なかでも、独特のテーマソングを流しながら走る性風俗店などを専門とする求人情報サイトのアドトラックは、もはや東京の“風景”の一部になっている。

都庁が業界団体の「自主規制」を強制

「東京都内を走行する都外ナンバーの広告宣伝車へのデザイン審査」からの一文(画像:東京都)
「東京都内を走行する都外ナンバーの広告宣伝車へのデザイン審査」からの一文(画像:東京都)

 この説明のポイントは次の点だ。

・屋外広告物条例にデザインを規制する条文はない
・車体利用広告デザインの審査は自主規制である

 つまり、東京都が現在実施している規制は、都議会で規制対象や要件が議論されたものではない。

「都庁が独自の判断で始めた」

規制である。しかも、都庁の広告宣伝車の申請に関する資料では「審査後、広告宣伝車の使用の本拠の位置の屋外広告物条例に従い、許可申請を行ってください」とある。都庁が業界団体の「自主規制」を強制しているという奇妙なものなのである。

 では、その審査基準とはどういうものなのか。前述の協会のサイト内の「広告デザインに関する基準」では、次のように明記している。

(1)基本的事項
1.公序良俗に反しないこと。
2.公衆に対し、不安、不快の念を与えないこと。
3.暴力、犯罪など反社会的行為を誘発、助長させる恐れのないこと。

これだけでは、なにがダメなのかはまったくわからない。ただ行政の観点から、公序良俗に反するなどと感じるものを

「排除したい意志」

があることだけは確かだ。性風俗の求人情報や出会い系サイトの情報を知らせている広告宣伝車が、即「公序良俗に反する」のか。ならば、どういう内容なら問題ないのか、いまいち基準はわからない。

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