アメリカ流「戦争方法」とは? 物資投入とロジスティクスの力がもたらす戦略的優位性をご存じか
アメリカ軍の戦い方は、人的犠牲を最小限にとどめるために大量の物資を投入して戦争の勝利を追求するとの基本方針で一貫している。
海上での物資の事前集積
民間企業も軍隊も「ジャストインタイム」という発想は同じであるものの、仮に相違があるとすれば、軍隊には戦時あるいは緊急時の物資不足など絶対に許されないため、多少の備蓄が必要とされ、許されるとの点であろう。
その象徴的な事例が、いわゆる「ローロー船」に代表されるMPS(海上事前集積部隊)である。湾岸戦争の準備段階では、インド洋のディエゴガルシア島などに停泊していた3隻の海上事前集積船が活躍した。
実際、前述のパゴニスは海上事前集積(備蓄)船の重要性を指摘する。すなわち、「サウジアラビアの社会基盤を『攻略して』いる間、われわれは配備船で輸送された装備と補給品に頼っていた。既に述べていたように、サウジアラビアでの最初の数週間は、配備船のおかげで生き残れたのであり、将来のいかなる原則もこの明白な事実を考慮にいれなければならない」(『山・動く』307ページ)。
おわりに
この小論で紹介したアメリカの伝統的なロジスティクス重視政策であるが、果たしてこれが、そのまま日本に導入できるであろうか。日本には人命最優先の思考や科学技術至上主義との親和性がアメリカと同様、強く認められるであろうか。
そもそも、「後方」と呼ばれあまり注目されることのないロジスティクスの領域に、今後、どの程度の資源や要員を充てることができるであろうか。
改めて確認するが、ロジスティクスは戦いの基盤、軍隊の「ライフライン」なのである。