「パイロットが意識を失っても大丈夫」 FAA認証間近の航空機“完全自動化”システムを知っているか

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パイロットが操縦不能に陥った際、機体を自動で最寄りの着陸可能な空港まで飛行させる装置が現在、FAA認証に向けて最終段階にある。その詳細について解説する。

急がれる法整備

ビーチクラフト・デナリ機(画像:テキストロン・アビエーション)
ビーチクラフト・デナリ機(画像:テキストロン・アビエーション)

 このシステムが本格稼働すれば、人的なトラブルに起因する深刻な航空機事故を大幅に減らすことができるだろう。

 現在最終認証試験中であり、FAAによる認証を得た後に最初に市販される機体は、ビーチクラフトの最新鋭単発ターボプロップ軽旅客機である「ビーチクラフト・デナリ」となる。テキストロンが所有するブランドであるセスナの上級コマーシャルモデルにも採用される可能性は高いだろう。

 昨今、クルマの世界でも自動運転は一部で限定的ながら採用されているが、その信頼性と完全自動という観点から見るとまだ不安定さが指摘されている。

 実際、想定外の暴走や衝突なども起きている。すなわち公道上では余りにも不確定要素が多く、将来的に信頼性の高い自動運転が実現したとしても、それは高速道路など周囲との速度差が少ない状況に限られるのではないか、というのが正直なところである。

 対して空の場合は、現時点で非常に高度な管制が行われており、機体同士の接触事故や障害物への衝突事故などの危険性は極めて少ない。また、自動で離陸し、事前のプログラミング通りに飛行した後に飛行場に帰還。自動で着陸するといったシステム自体は無人のドローンでは既に実用化されて久しい。

 後は総合的な信頼性向上と法的な整備のみで、パイロットなしでの完全自動運航が実現できる日も近いかもしれない。そうした可能性を強く思わせる新たな緊急自動着陸システムこそが、ガーミン・エマージェンシー・オートランドなのである。

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