「パイロットが意識を失っても大丈夫」 FAA認証間近の航空機“完全自動化”システムを知っているか
パイロットが操縦不能に陥った際、機体を自動で最寄りの着陸可能な空港まで飛行させる装置が現在、FAA認証に向けて最終段階にある。その詳細について解説する。
自動操縦で最寄り飛行場まで飛行

エマージェンシースイッチオンと同時に、機体からはエマージェンシーコールサインが発せられ、即座に飛行中の空域を管轄する管制塔のコントロール下に入る。直ちに周辺を飛行中の他機にも緊急事態が知らされ、空域はトラブル機の飛行が最優先となる。
さらに機体側では残りの燃料、飛行速度、飛行高度などを総合的に演算し残りの航続距離がはじき出される。その範囲内で、機体の大きさと着陸性能に対して十分な長さの滑走路を持つ最寄りの飛行場が選び出される。自動操縦がオンになっていればそのまま維持されるが、仮にオフだった場合はオンに再設定される。
そしてここからがこのシステムの真骨頂であり、機体は完全な自動操縦のままで先に選定された最寄りの飛行場まで方向と高度を適宜変えつつ飛行。回避しなければ地形、飛行に危険を及ぼしかねない天候の乱れなどがあれば、それらに対しても自動で回避操作が行われる。これらはGPSと機上と地上それぞれの管制レーダーを併用した精密誘導で行われる。
最寄りの飛行場に近づいたら機体は自動的に高度を下げ、管制塔から指示されたルートから滑走路へ進入し自動で着陸。着陸と同時にブレーキ操作からの停止。滑走路での停止と同時にエンジン停止まで全て自動で行われるというものである。