「EV = 走るコンピューター」が理解できない日本人! テスラ・中国勢がなぜ圧倒的躍進を遂げているのか、その根幹をまずは知るべきだ

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4月18日~27日に開催された上海モーターショー以来、日本の自動車業界には「上海ショック」が吹き荒れているという。日本のEVの遅れに関して、批判的な論調を控えていた国内のメディアも、さすがに今回は日本の立ち遅れへの危機感を伝えるようになった。

全車両が「自動運転レディ」

2023年、主要メーカーの電気自動車(BEV/PHV/FCV)販売台数推移(画像:マークラインズ)
2023年、主要メーカーの電気自動車(BEV/PHV/FCV)販売台数推移(画像:マークラインズ)

 世界全体に高速充電網(スーパーチャージャー)を自ら構築し、今や世界全体で約5000か所・4万5000基を整備して他社を圧倒的にリードしている(2023年4月末現在)。さらに、テスラではどこのスーパーチャージャーに行っても、充電プラグを抜いて差し込むだけで車両認識も課金も自動的に始まる。

 充電ケーブルも細くて扱いやすく、低速(AC)も高速(DC)もひとつの口にまとめているシンプルさなど、テスラの「プラグ&チャージ」の充電体験をすると、例えば日本のCHAdeMO(チャデモ)の難点として指摘されている、

・ケーブルが重い
・情報通信機能がない
・充電量課金ではなく時間課金
・ほぼ1台しかなく高速道路などで充電待ちが発生する(テスラは利用状況も事前にオンラインでわかる)

といった、貧弱なユーザビリティ(使いやすさ)とのあまりの落差にがくぜんとする。

 蓄電池の大量生産にも早くから取り組んだ。誰の目にもEVがいまだニッチでしかなかった2013年、マスクはギガワット時規模の「ギガファクトリー」の建設を公言し、早くも2016年にはパナソニックと組んで米ネバダ州で生産を開始している。

 そして何といっても、世界で走っている累計400万台(2023年4月末)の全ての車両が

「自動運転レディ」

であることだ。

 テスラはLiDAR(ライダー。レーザー光を使って離れた場所にある物体の形状や距離を測定するセンサー技術)や3次元マップを用いずに、カメラと人工知能(AI)スーパーコンピューターDojoによる同社独自のビジョン方式の自動運転(FSD)である。

 実走している全テスラ車からシャドーモードでデータを収集してAIに深層学習させているため、学習データが他の自動運転よりも桁違いに多い上に多種多様であり、今後も急激な性能向上が期待できる。

 事後で申し込んでも利用できる仕組みで、日本ではまだ提供されていないが、北米では2022年11月から「完全自動運転」(FSD beta)がすでに提供されており、ユーザーが公開している動画を見ると、相当に完成度が高まっているようだ。

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