「EV = 走るコンピューター」が理解できない日本人! テスラ・中国勢がなぜ圧倒的躍進を遂げているのか、その根幹をまずは知るべきだ

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4月18日~27日に開催された上海モーターショー以来、日本の自動車業界には「上海ショック」が吹き荒れているという。日本のEVの遅れに関して、批判的な論調を控えていた国内のメディアも、さすがに今回は日本の立ち遅れへの危機感を伝えるようになった。

マラソン「35km地点」を独走するテスラ

2023年3月30日、高陽市のKINTEX展示場で行われた「2023ソウルモビリティショー」のプレスプレビューで、テスラモデルXを眺める来場者(画像:AFP=時事)
2023年3月30日、高陽市のKINTEX展示場で行われた「2023ソウルモビリティショー」のプレスプレビューで、テスラモデルXを眺める来場者(画像:AFP=時事)

 フォードは第1四半期決算でEV部門を別途報告したのだが、何と▲約5万8000ドル/台の赤字だった。このことから、他のレガシー自動車勢のEV部門は、フォルクスワーゲンもトヨタなど日本勢も同様に赤字であることが推測され、この先、困難に直面するだろう。

 ICEは急速に売れなくなってゆくためEVを売らざるをえない、EVを売れば売るほど赤字が膨れあがり、今、利益を稼いでいるICEシェアが落ちていくという

「負のスパイラル」

に陥るからだ。

 テスラは2030年に年2000万台という目標を掲げ、年率50%の生産拡大を目指している。2022年はコロナによる上海工場の1か月シャットダウンがありながら、137万台を販売し前年の93万台から47%増を達成した。すでにマツダ(同125万台)を越えた。

 テスラが量産している2車種もまだ比較的に高級車価格帯だが、その圧倒的な利益率を武器に、年明けに平均20%という大幅な値下げを行い、さらに普及を加速させつつ、競合他社をますます厳しいコスト競争に追いやった。2023年は第1四半期で42万台を販売し、第2四半期はそれ以上の販売傾向にあり、年間で180万台から200万台が視野に入り、アウディ(161万台)を追い越す可能性が高い。

 なお、全車EVにかじを切ったBYDも、自ら蓄電池を製造する強みを生かしながら、この第1四半期は前年同期比93%増の53万台で、純利益も前年同期比410%増の41億3000万元(6億ドル、810億円)を記録した。とはいえ、1台あたりの利益は1080ドル/台と今のところテスラの10分の1にすぎない。

 一方、テスラは3月1日に開催したインベスター・ディでは、さらに製造コストを従来の原価から50%に引き下げる次世代組み立て工程やさらなる普及に向けた廉価版のコンパクトカーの登場も示唆した。

 少し古い記事だが

「マラソンに例えるとテスラは35km地点を独走中、他EV各社が3km地点で追いかけ、まだグラウンドで靴ひもを結んでいる会社もある」

と評していた。それから1年半が経過した今、果たしてテスラや中国勢、そして日本勢の各社は「EVマラソン」で、今どのあたりいるのだろうか。

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