日本にはびこる「海外BEVごり押し」説は本当か? アフリカ・東南アジアでもBEV急成長、変化を迫られているのは日本だ
アフリカでも普及が始まったBEV

BEVは車両価格が高く、電力網が不安定な新興国での普及は難しい――。
これまで多くの新興国でバッテリー式電気自動車(BEV)の販売が少なかったことから、まことしやかにささやかれていたこのような意見。ところがいま、生産量の増加や低価格化を背景に、新興国でBEVの販売が転換期を迎えている。
アフリカ有数の経済規模を誇る南アフリカ。2020年のBEV販売数は100台未満だったが、2021年は200台を超え、2022年には
「500台」
を突破、毎年2倍のペースで成長を続けている。
同国ではこれまで、最も安価な車種でも500万円を超えていたものの、2023年はより安価な車種も発売予定であり、このペースで成長が続けば1000台を超えると見られている。
進む充電インフラの整備

BEVの普及とともに、充電インフラの整備も進む。
2026年以降に発売する全ての新型車をBEVに移行するアウディは、地元企業とともに長距離ドライブに必要な急速充電網を同国に整備。2023年2月には最大200kW出力の超急速充電器を含め、同国の公共充電器の28%にあたる113か所まで拡大した。
同国では計画停電が多発しているが、米国の大手自動車ポータルサイト・オートトレーダーの調査によるとBEV購入の懸念事項の上位は価格や急速充電インフラであり、計画停電は影響していないという。
車は大半の時間を駐車場で過ごしているが、このうち数時間だけでも充電できれば問題ないからだ。これは米ウェブサイト「クリーンテクニカ」に掲載されている、ジンバブエからのリポートでも肯定されている。
同国では2022年に入り毎日のように20時間の計画停電に見舞われているが、日産リーフを所有するRemeredzai Joseph Kuhudzai氏によると、電気が使える4時間で充電することで問題なく運用可能としている。
同じくアフリカのガーナでも20車種を超えるBEVが発売、ケニアでは地元の新興企業であるバシゴーなどがBEVバスを発売、今後3年間で1000台をサブスクリプションリプションで提供予定とする。
さらにロームは日立と提携し、アフリカ全土でBEVバスを拡大。ボルボもアフリカの複数の国で大型トラックなどの商用BEVを発売した。2022年にプラグインハイブリッド車(PHEV)を含むEV販売で世界最多だった中国の比亜迪(BYD)は、アフリカのコスタリカ、ジンバブエ、ケニア、ガーナ、カンボジアなどでも購入可能になった。
また、エチオピアではBEVの普及を促進するため、購入に関わる消費税や付加価値を免除する政策を開始。さらに販売だけにとどまらずBEV組み立てキットは関税を免除し、現地での車両組み立てを新たな産業として育成している。