自動車産業をメタバースがけん引? 開発とデザインが革新されるワケ
自動車に大きな変化をもたらすといわれているAR、VR、メタバース。今回はそれらが自動車にもたらす変化や、すでに実用化されている例などを紹介する。
安全教育やディーラーで活用されるVR

一方でVRは仮想世界がベースとなるため、ARとは異なり運転をサポートするという意味では活用が難しい。VRが活用されるのは、教習所における安全教育やディーラーなど、運転以外の場面が多くなる。
自動車運転の安全教育においては、危険な状況の再現し体験させるなど、すでにVRが活用されている。また一部のディーラーでは、車内オプションを搭載した際や、外観オプションによる見た目の変化を、VRを使って顧客にイメージさせる試みも行われている。
VRは仮想世界を映すものではあるが、紙面やフラットなモニター上で映像を見るのとは異なり、まるでその場にいるかのような没入感があるため、そこにはないものを体感してもらうのに適している。
したがってVRが自動車そのものに搭載されて活用される可能性は、今後もあまり高まることはないだろう。しかし安全教育やサービス面ではさらに活用が広まり、ディーラーなどで触れる機会もきっと出てくるに違いない。
最後にメタバースについてだが、日産自動車がバーチャルギャラリーにメタバースを利用した例はある。車の情報に併せ、映像コンテンツも展開し、参加者を楽しませたそうだ。しかし少なくとも2023年の段階においては、メタバースが自動車の一般利用者に大きな変化をもたらす兆しは、まだ見えていない。
またメタバースもVRと同様に仮想空間をベースとするため、活用が進むとしても、運転サポートよりは安全教育やサービスの現場で扱われることになるはずだ。