「クルマ + 向精神薬」に潜む運転リスク! 眠気・集中力低下の注意喚起も、矛盾する地方の現実 完全解決は“自動運転”の普及だ

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向精神薬の添付文書には運転に注意するよう警告があり、一部の薬は運転を禁止している。ただし、実際には運転が必要な患者も多い。モビリティはこれを解決できるか。

添付文章の文言の矛盾

薬と医師のイメージ(画像:写真AC)
薬と医師のイメージ(画像:写真AC)

「向精神薬を飲んでいても運転できるなら構わないじゃないか」

という人もいるかもしれないし、ある程度は私も同感である。向精神薬のすべてが運転技能に大きな害をなすわけではない。

 しかし向精神薬の添付文書を確かめてみると、なんだか雲行きが怪しくなる。例えば、とある抗うつ薬の添付文書には

「眠気、めまい等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること」

と記されている。実際、その抗うつ薬を内服し眠気を感じる患者は少なくないので、処方するときには注意を促し、眠気がひどければ服薬を中止し、相談するようお願いするのが通例だ。

 もっと気になるのは「運転するな」と添付文書に書いてある薬である。

「眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること」

と記されている向精神薬はかなり多い。これを厳密に受け取るなら、該当する向精神薬を処方されている患者は一律に自動車運転を禁止すべきなのだろう。

 ところが、二重の意味でこれは実態に即していない。第一に、地方のメンタルクリニックや精神科病院の駐車場には通院者のマイカーがひしめいている。自動車が事実上の足になっている地方では、精神疾患にかかっている患者でも自動車運転をしないわけにはいかない。そうした地方の患者がくだんの添付文章の記された向精神薬を内服していることはまったく珍しくない。内科医や整形外科医が処方している向精神薬でも、こうした添付文書が付いているケースは意外に多い。

 第二に、くだんの添付文書は機械的に貼り付けられているきらいがある。例えばADHD(注意欠如・多動症)治療薬であるメチルフェニデート徐放剤は、作用機序からいって、運転技能が妨げられるより、むしろ助けにさえなりそうな薬だが、にもかかわらず「運転するな」という添付文書が付けられている。これに限らず、薬効や作用機序からいって首をかしげたくなるような添付文書はそう珍しくない。

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