「クルマ + 向精神薬」に潜む運転リスク! 眠気・集中力低下の注意喚起も、矛盾する地方の現実 完全解決は“自動運転”の普及だ

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向精神薬の添付文書には運転に注意するよう警告があり、一部の薬は運転を禁止している。ただし、実際には運転が必要な患者も多い。モビリティはこれを解決できるか。

運転免許証と精神医療といえば……

薬の錠剤イメージと自動車(画像:写真AC)
薬の錠剤イメージと自動車(画像:写真AC)

 精神医療とクルマ社会の関わりといって、皆さんは何を連想するだろうか。今、一番多くの人が連想するのは、認知症による運転免許証の取り消し処分ではないかと思う。

 実際それは大きな問題で、2017年には改正道路交通法が施行され、警視庁の発表によれば2021年だけで51万人以上が運転免許証を自主返納したという。超高齢化社会ではドライバーが認知症になってしまうケースも増え、精神科医がそのための診断に関わる場面が急増している。

 では、精神科医とクルマ社会の関わりはそれだけだろうか。いや、実際にはほかにもいろいろある。けいれんを起こしてしまう疾患や睡眠発作を起こしてしまう疾患など、運転技能に差し支える疾患の診断と治療に精神科医は昔から携わっていた。加えて、精神科医はさまざまな向精神薬──向精神薬とは、メンタルに作用するさまざまな効果を持った薬の総称である──を処方することで、実際には自動車運転になんらかの影響を与え続けている。

 認知症とはまた別に、精神疾患全体も急増している。厚労省『患者調査』によれば2020年の段階で精神疾患の患者数は600万人を超えており、その多くが向精神薬を内服していることを考えると、本当は

「向精神薬と運転の問題」

はかなり大きく、ちゃんと意識されなければならないはずである。今日はそのあたりについて紹介してみたい。

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