「クルマ + 向精神薬」に潜む運転リスク! 眠気・集中力低下の注意喚起も、矛盾する地方の現実 完全解決は“自動運転”の普及だ
向精神薬の添付文書には運転に注意するよう警告があり、一部の薬は運転を禁止している。ただし、実際には運転が必要な患者も多い。モビリティはこれを解決できるか。
向精神薬を飲んでいる人は意外に多い
現在の精神医療の小さくない部分は、向精神薬によって成り立っているといっても言い過ぎではない。
適切に用いられた向精神薬は抑うつを快方に向かわせ、情緒を安定させ、不眠症を改善させる。600万人を超える精神疾患の患者数の過半数が、なんらかのかたちで向精神薬に頼り、生活している。
精神科にかかっていないからといって向精神薬を服用していないとは限らない。インテージテクノスフィア(東京都西東京市)による2016年の調査によれば、
・60~64歳:7.5%
・65~69歳:9.4%
が睡眠薬の処方を受けているという。
そうした睡眠薬のかなりの部分は精神科医によってではなく、かかりつけ医によって処方されている。また、胸痛などの身体症状に対し、内科医が向精神薬を処方している例も珍しくない。整形外科領域でも、最近は慢性の痛みを減らすために抗うつ薬の一種が盛んに処方されている。
そうした、精神科以外で処方される数まで含めると、日本人は案外、向精神薬を飲んでいるのである。医師の処方箋やお薬手帳を熱心に確認しない人の場合は、自分が向精神薬を飲んでいると認識していないこともあるだろう。