「クルマ + 向精神薬」に潜む運転リスク! 眠気・集中力低下の注意喚起も、矛盾する地方の現実 完全解決は“自動運転”の普及だ
向精神薬の添付文書には運転に注意するよう警告があり、一部の薬は運転を禁止している。ただし、実際には運転が必要な患者も多い。モビリティはこれを解決できるか。
自動運転車が来るまで各人が気を付ける
認知症疾患の増加に加え、ますます向精神薬が身近になっている現状をどうすればいいだろうか。最も好ましいソリューションは、なんといっても
「自動運転車の普及」
だろう。
自動運転車が普及してしまえば、認知機能が低下した高齢者も、朝になっても睡眠薬の効果が残っている患者も安全に移動できる。クルマ社会においてバリアフリーを実現するとは、身体機能の障害だけでなく、認知機能の障害があっても安全に移動できるものでなければならない。
とはいえ、自動運転車はもうしばらくは普及しないだろう。それまでは、個々の患者においても社会全体においても、リスクとベネフィットをてんびんにかけながら向精神薬の服用と運転という問題に取り組むほかない。
運転状況についての問診が欠かせないし、患者の側も運転にまつわる心配や障害を積極的に担当医師にしゃべってほしい、と思う。そうした注意を積み重ねることで、運転リスクが減らせると期待できるからだ。
用法・用量を守り、よく担当医師とコミュニケートしていれば、ほとんどの場合、そこまで深刻な運転技能の低下は起こらない。それでも、ときにはたった1錠の薬が、大ジョッキ一杯のビール以上に運転に悪影響を及ぼすこともあり得る。そういう意味では、添付文書に記されているあれこれは(現状に即していない部分がいろいろあるとしても)こけおどしではないともいえる。向精神薬を服用する機会のある人は、どうかご安全に。