オリエント急行「ロンドン~フランス」廃止で、ドーバー海峡はさらなる“分断の象徴”と化す?

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4月中旬、オリエント急行が2024年以降ロンドン発着を取りやめるという報道がなされた。廃止が生む真の問題とは。

欧州渡航情報認証制度でさらに状況悪化

ETIASの公式ウェブサイト(画像:ETIAS)
ETIASの公式ウェブサイト(画像:ETIAS)

 さて、再びVSOEの話題に戻そう。

 ヨーロッパの報道を見ると、VSOEのロンドン~フランス間の廃止は、ブレグジットの影響によるものだとする意見が散見された。

 というのも、イギリスが欧州連合(EU)を離脱してからは、パスポート管理が厳しくなっているからだ。例えば、イースター休暇では、ドーバー海峡経由で国境を越えるために最大14時間待たされたという。

 今後は、ETIAS(エティアス)の運用開始により、さらに状況が悪化すると見られている。ETIASとは、

・観光
・ビジネス
・トランジット(乗り継ぎ)

などの目的で、ヨーロッパのシェンゲン協定加盟国に旅行する際に必要となる渡航認証制度のことだ。ETIAS公式ウェブサイトによると、2023年11月より導入開始予定とのことであるが、一方で2024年のパリオリンピック後に導入されるとの報道もある。

 VSOEの運営会社の立場で考えると、スムーズにドーバー海峡を越えられなくなり、カレーあるいはフォークストーンでの接続に失敗して商品価値が下がるリスクを抱えるぐらいなら、2024年の国境管理強化にあわせてロンドン~フランス間の運行を廃止したくなるのも無理はない。

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