採算とれぬ「離島路線」 赤字は税金補てん常態化も、近年見られる新たな“希望”とは
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乗客ゼロでも航空便が必要

日本には現在「97」もの空港がある。そのなかで、離島にある空港を結ぶ路線は、搭乗率がたった数%であっても、飛ばし続けなければいけない。
例えば、緊急の救急搬送時などだ。「島民の足」としても、船舶より移動時間が大幅に短い飛行機は欠かせない。
そんな離島路線の採算は、観光需要が見込めるピーク期以外は苦しい。1日に数えるほどしか発着しない空港経営も同様だ。
赤字分は税金で補てんされ続けるのが常態化しているが、近年、航空会社や空港の運営など、民間による新たな動きも出てきつつある。
路線維持に独自の試み

離島路線は離島住民にとって欠かせない。一方で、離島の人口を考えると、毎日運航されていて少なくとも数十席ある座席を、一般的に大手航空会社の採算ベースといわれる5~6割埋めるのは容易ではない。
沖縄の離島路線では、JALグループの琉球エアコミューター(RAC)が多くの路線を運航する。RACでは、ボンバルディアDHC-8-400というプロペラ機の「カーゴコンビ」(CC)型を所有。通常型が74席なのに対し、50席しかない代わり、機体後部の貨物スペースが広い。
RACによると、与那国のカジキマグロや久米島のクルマエビなどを迅速かつ大量に運ぶことができるとのこと。加えて、台風シーズンには船舶の貨物輸送が長期間困難となるため、この貨物室に大量の日用品を搭載して島民の早期の生活復旧にも寄与するという。
また、沖縄の宮古諸島にある下地島空港では三菱地所が空港運営に携わっている。下地島空港は2019年3月に新ターミナルが開業。施設内に水上ラウンジがあるなど、南国のリゾートホテルのような雰囲気がただよう。
一般エリアにはカフェ・ショップもあり、飛行機利用者以外も立ち寄りやすいスポットとなっている。三菱地所は、宮古諸島でホテル開発なども推進し、空港を起点としたまちづくり、沖縄全体の観光産業および地域経済活性化も目指している。