相鉄・東急直通開業が「私立中学受験」に影響? 開業記念ムービーに見る、相鉄の生産年齢人口“囲い込み戦略”とは
記念ムービー好評
相鉄・東急直通線の3月18日の開通に先駆けて、相鉄ホールディングス(神奈川県横浜市西区)が公開した記念ムービー「父と娘の風景」が、国内外で好評を博している。
俳優のオダギリジョーさんと櫻坂46の山崎天さんが父娘を演じ、幼少期から思春期、反抗期を経て成長していく少女の12年間と、それに向き合う父親が、相鉄線の車内を舞台に描かれた。
「東京、遠いな」
「あっというまだよ」
というふたりの会話は、直通の時間短縮効果を象徴しているが、それだけではない。相鉄が期待する
「沿線住民像」
が、この父と娘の成長物語に凝縮されているのだ。
神奈川県南西部が「通勤通学圏」に
相鉄・東急直通線は、横浜を起点とする相模鉄道と、東京と神奈川の間に複数の路線を運行する東急電鉄が、
・相鉄新横浜線
・東急新横浜線
というふたつの新線を介して手を結んだ輸送サービスである。神奈川県中央部~南西部の各都市から、東部の日吉や武蔵小杉、さらには渋谷、目黒方面へと乗り換えなしで行けるようになった。
相鉄側は二俣川から相鉄本線(大和、海老名方面)といずみ野線(いずみ中央、湘南台方面)の2方向にわかれ、東急側も東横線(渋谷、東京メトロ副都心線直通)と目黒線(東京メトロ南北線、都営地下鉄三田線直通)へとわかれる。
副都心線がさらに直通する東武東上線や西武池袋線なども含めると、神奈川、東京、埼玉の1都2県、7社局14路線に及ぶ広域的な相互直通が実現したわけである。そのメリットは、言うまでもなく乗り換えの面倒がなくなり、所要時間が短縮されたことにある。
例えば、二俣川からの時短効果は、実に16分にもなる。特に、従来は日吉が始発だった目黒線は、相鉄から見れば横浜、日吉と2度の乗り換えが不要となり、ぐっと身近になったといえる。
主要区間の所要時間は二俣川~目黒間が最速38分、二俣川~渋谷間が最速39分、湘南台~渋谷間が最速51分など1時間を切っており、これらの範囲が日常的に利用される通勤通学区間として視野に入ってくるだろう。