陸自ヘリ墜落で存在感 いま「潜水艦救難艦」が注目されるワケ その特殊任務とは?

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宮古島近海で起きた陸自ヘリ墜落で、潜水艦救難艦ASR-403「ちはや」が投入された。いったいなぜなのか。

「飽和潜水」をけん引する海上自衛隊

飽和潜水の手順(画像:海洋研究開発機構)
飽和潜水の手順(画像:海洋研究開発機構)

 そしてこの装置には別の使い方もある。それは「飽和潜水」のための加圧調整装置である。

 飽和潜水とは深度が深い海中で人力による細かな作業が必要な場合に使われる特殊な潜水方法だ。高圧環境では吸気中のガスが生体組織内に溶け込んでいくという生理現象を逆に利用し、あらかじめ加圧環境下で少しずつ組織内に溶け込む気体を飽和状態(それ以上は溶け込まない状態)にすれば、その後の呼吸による人体への影響は無くなる。深い深度での長時間潜水作業が可能となるわけである。

 今回、ちはやが捜索と救助作業に参加したのは現場海域の深度の深さゆえだ。宮古島周辺は陸地からほど近い海域でも急激に海底までの深度が深くなるといわれている。そのため早い段階で飽和潜水でのダイバーによる救助作業が必須と判断されたことは想像に難くない。そして実際にダイバーは深度100m以上の発見場所で救助作業を行っている。

 とはいえ、現時点で飽和潜水という特殊潜水技術はメジャーではない。深海作業ダイバーの運用では長い歴史と多くの経験を持つ米国海軍でさえ、現時点で飽和潜水からは撤退しているといわれている。飽和潜水における国際的なリーダーシップは数少ない民間潜水業者および、海上自衛隊が取っているのだ。

 そうした状況のなか、ちはやにはDDCこと艦上減圧室に加え、ここで飽和状態となったダイバーを海底近くの作業現場にまで送り込むためのPTCことPersonnel Transfer Capsuleも装備している。また艦内には手術室その他の充実した医療設備も完備している。

 深海での危険な作業をさまざまな機器類と多くのノウハウを駆使してより安全に完遂する。潜水艦救難艦は一見すると地味な存在ではあるが、今や重要な存在なのだ。

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