自衛隊ヘリに対する「レーザー照射」は犯罪だ! いま問われる一般人のモラル、レーザーポインターは武器になることを忘れるな

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ヘリコプターへのレーザー照射が相次いでいる。その危険性と現状とは。

相次ぐ一般人による照射

陸上自衛隊のヘリイメ-ジ(画像:防衛省)
陸上自衛隊のヘリイメ-ジ(画像:防衛省)

 自衛隊のヘリコプターに、またしてもレーザーポインターが照射された。他国の軍隊によるものではない。日本の、ごく普通の一般人による照射だ。

 2022年7月、佐賀県の目達原(めたばる)駐屯地に向けて飛行していた陸上自衛隊西部方面航空隊のヘリコプター2機がレーザーポインターによる照射を受けた。照射の現場は福岡県柳川市の住宅街上空、一歩間違えば大惨事だ。強権的、もしくは政情の不安定な国の軍隊なら自衛のために反撃しているかもしれない。大げさでなく、アフリカや中東の紛争、ウクライナ情勢など見ていればわかるはずだ。

 レーザーを照射することは、攻撃の意志と判断されても仕方のない危険な行為である。2022年2月、アラフラ海でオーストラリア軍の哨戒機が中国の艦船からレーザーを照射され、豪中関係に緊張が走った。本当に大げさではなくそれと同じことをしている。

 照射した37歳アルバイトの男性は、

「拾ったレーザーポインターを修理して、姪(めい)たちを喜ばせようと思った」
「自衛隊のヘリコプターとは思っていなかった」

と供述している。しかし彼に限らず、自衛隊に対するレーザーポインターの照射事件はこの国でも頻繁に起きている。

 2021年6月には、千葉市若葉区上空で陸上自衛隊木更津駐屯地所属の特別輸送ヘリコプターが夜間飛行訓練中、49歳の派遣社員によってレーザーポインターの照射を繰り返し受けた。同年6月にも三重県明野駐屯地所属のヘリコプターが夜間飛行訓練中にレーザー照射を受けて訓練を中止している。

 2020年には「自宅の上空を旋回する騒音に腹が立った」と府中市上空の陸上自衛隊東部方面隊および東京消防庁装備部のヘリコプター2機に対して、執拗(しつよう)に照射した53歳の男が威力業務妨害の疑いで書類送検された。

 もちろんこれ以前から多くの事例があり、社会的に問題視されたがために2016年、現在の改正航空法が施行された経緯がある。