伊豆縦貫道が牙をむく! 修善寺に観光客を運んできた「駿豆線」が憂う未来とは

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三島から修善寺を結ぶ伊豆箱根鉄道「駿豆線」。その

静岡県で1番人気の伊豆エリア

秋の修善寺(画像:写真AC)
秋の修善寺(画像:写真AC)

 駿豆線の終点にある修善寺は、現在静岡県伊豆市にあり、豊かな自然に恵まれた地域である。伊豆最古といわれている修善寺温泉があり、かつては源頼朝の長男で鎌倉幕府第2代将軍だった頼家が幽閉された地でもあった。

 また、川端康成の伊豆の踊り子の舞台として用いられたり、夏目漱石が療養に訪れたりするなど、修善寺は観光地として、あるいは保養地として愛されてきたのだ。

 静岡県スポーツ・文化観光部観光交流局観光政策課の「令和元年度 静岡県観光交流の動向」(以下、静岡県観光交流の動向)によると、観光交流客(県内の各地域を訪れた人の延べ人数とし、宿泊客数と観光レクリエーション客数を合計したもの)のうち30.2%が、宿泊客にいたっては54.9%が、伊豆市を含む伊豆エリアに訪れたとのことである。

 このように伊豆エリアは、静岡県で1番人気がある地域なのだ。

修善寺の観光交流客数、約20年で4割減

観光交流客数(伊豆市)の推移(画像:中小企業庁)
観光交流客数(伊豆市)の推移(画像:中小企業庁)

 とはいえ、伊豆エリアというくくりでは県内トップだが、細部まで見るとライバルが多い。静岡県観光交流の動向の伊豆エリア観光交流客トップ5を見てみよう。

・伊東市:1087万5224人
・三島市:714万4151人
・熱海市:687万8272人
・沼津市:436万3178人
・伊豆市:292万0852人

 伊豆半島の東側と西側に観光客が二分されていることがわかる。また、三島市や沼津市まではそれなりの数の観光客が訪れているものの、伊豆市まで足を伸ばす観光客が少ない様子もわかり、もどかしさを覚える。

 加えて、伊豆市商工会が中小企業庁に提出した資料によると、修善寺の観光交流客数が1998(平成10)年と比較して大幅に減少していることがわかる。実際、駿豆線の輸送人員(定期外)も、1990年度の682万人に対し、2018年度は

「410.5万人」

と約4割も減っている。

 せっかく伊豆という静岡県トップの観光エリアにありながら、駿豆線も終点の修善寺も厳しい環境に置かれているのだ。

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