過去最大7億2000万円の赤字! 「土佐くろしお鉄道」大ピンチ、ドル箱「通学利用」頼れず 人口減少も全国より10年速い現実

キーワード :
,
高知県の第三セクター・土佐くろしお鉄道が2022年度、過去最高の赤字見通しとなった。沿線は全国有数の人口減少地域。行政の支援は続くが、鉄路の前途に不安がよぎる。

地域の適切な縮小に公共交通が必要

土佐くろしお鉄道(画像:写真AC)
土佐くろしお鉄道(画像:写真AC)

 人口減少時代の地方は、都市がコンパクトシティ(交通、商業、医療、教育、行政などの機能を都市中心部に集約する概念)を目指すように、適切な縮小に向かう必要がある。そのために、鉄道など公共交通が果たすべき役割は、決して小さいものでない。

 人口減少がさらに進むと、スーパーや飲食店、医療機関などが消え、住民の暮らしがますます不便になる。公設のスーパーが秋田県由利本荘市など、公設のガソリンスタンドは奈良県川上村で営業を始めている。こうなると自治体の持ち出しは膨らむ一方だ。その分、他の行政サービスにかける費用が少なくなり、結果として住民の暮らしにしわ寄せが行く。

 これを打開するには、自治体が都市計画のマスタープラン(基本計画)として策定している立地適正化計画で鉄道駅や路線バスの停留所周辺に住民を誘導し、店舗などが存続可能な人口を維持することが考えられる。

 だが、住民の誘導がうまく進む前に公共交通が消え、子どもたちが家族の送迎でしか高校に通えない状態になると定住者が集まりそうもない。この方法で地域のグランドデザインを描くとなると、住民を誘導した拠点間を結ぶ公共交通の存在が欠かせないわけだ。

 高知県は県全体で全国より10年速いペースで人口減少が進んでいるといわれている。土佐くろしお鉄道の沿線はさらにその先を歩んでいることになる。急激な人口減少に直面しながら、模索を続ける高知県や土佐くろしお鉄道の姿は、明日の日本を映し出している。

全てのコメントを見る