日本と大違い! 英国でヘルメット「努力義務化」の声が上がらないワケ そもそも閣僚が反対、専用レーン整備が先決か

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4月1日から、自転車でのヘルメット着用が努力義務化された。いまだ着用は少数派だが、英国ではどうなのか。比較する。

英国ではヘルメット着用が義務ではない

ロンドンの朝の自転車通勤風景(画像:写真AC)
ロンドンの朝の自転車通勤風景(画像:写真AC)

 ロンドンなど自転車専用レーンが拡大中の英国では、ロンドン交通局など各団体からヘルメット着用が推奨されている。ロードバイクが一般的なせいか、ヘルメットを着けている人が多いのだが、義務化はされていない(英王室属領ジャージー島を除く)。

 ヘルメットについては以前から議論がある。反対派は、

「自転車のヘルメット着用は安全対策の効果がないばかりか、自転車に乗ることを思いとどまらせたり、サイクリングをリスクの高い活動と思わせたりするもの」

と主張している。

 安全対策の効果がないとはどういうことなのか。

「脳振とうから守ってくれない」

ロンドンの街並み(画像:写真AC)
ロンドンの街並み(画像:写真AC)

 ひとつには、自転車用ヘルメットが脳振とうから保護するようには設計されていないことだ。

 米国消費者製品安全委員会(CPSC)は、「ヘルメットのデザインで脳振とうを防ぐことが証明されたものはありません」としている(2021年5月18日付同ホームページ)。

 一般に求められるヘルメットの役割は、走行中の車に衝突された際に、頭を守ることだろう。しかし製造者サイドは、自転車用ヘルメットは

「頭の高さから地面に地面まで落下する」

ことに備えた設計であり、ハイスピードの車による衝突で跳ね飛ばされたときに

「頭を保護するものではない」

ことを強調している(2022年12月21日付『米国版フォーブス』)。

 ヘルメットには、頭部外傷には効果があるといわれているが、ロンドンのセント・ジョージ病院の脳神経外科医であるヘンリー・マーシュ博士のように

「通常のヘルメットは単純に薄すぎるので負傷を防ぐものではない」

とする意見もある。

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