バッテリーEVの「車体デザイン」多様性なさすぎ説 ステレオタイプからの脱却を!
モノづくりの力が低下した理由
読者の人たちは車、服、家具などの「モノ」を買おうとするとき、値段、性能、機能、外観など、どのような要素を重要視するだろうか。
ちまたでは日本のモノづくりの力が低下しているといわれて久しい。その理由として、
「機能性ばかりを追求してガラパゴス化した」
結果とよくいわれるが、それは間違いない。
ただ、人間の消費行動を考えたとき、もうひとつの大きな要素が存在する。それはデザインだ。今回は、そのデザインの観点から車作りを考えてみたい。
デザインはアイデンティティーに直結
日本のモノづくりを見たとき、ウオークマンやノート型パソコンなど革命的な商品が日本から生まれてきた。しかし古くは1933(昭和8)年、繊維品輸出市場でイギリスを抜いて世界一なったように
・テレビ
・半導体
・車
・造船
など、日本は基本的に海外で発明された既存製品をブラッシュアップして成功させてきた。そういう意味では、機能性重視は日本人が持つDNAといっていいだろう。
ただ、一般的な消費行動に置き換えると、機能性は二の次だ。消費財を購入するとき、まず値段が一番大きな要素だが、次の大きなファクターは実は
「デザイン」
だ。服が一番わかりやすいが、機能性に優れていて好みの色でも、デザインが良くなければ買わない人のほうが多いだろう。車も同じで、日産とトヨタの競合車を比較するとき、値段や性能がほぼ同じになると、「かっこいい」と思うほうを買おうと思うのが自然だ。なぜなら、それは自分自身のアイデンティティーに直結するからだ。
日本人には「見た目より中身で勝負」という価値観も存在しており、それが理想だと頭の中では理解している。ただ、『人は見た目が9割』(新潮社)がベストセラーになったことからもわかるように、外観が大事なのは人間の性ともいえる。そうでなければ、ファッションを筆頭に、らゆる工業製品は単一のデザインでいい。
アップルの製品はなぜ発展したのか、それは性能がよいだからだけではない。デザイナーのジョナサン・アイブを中心にデザインにウエートを置いたからこそ、世界初の1兆ドル企業が誕生した。そう考えた場合、商品はもう少しデザインに力を入れるべきではないのか。