幕張豊砂&高輪ゲートウェイ なぜ鉄道「新駅誕生」は歓迎すべきことなのか? モータリゼーション衰退で見える郊外開発の終焉
駅利用者増だけでない新駅効果

すでに大都市中心部には大型開発のための土地はあまり残されていないが、鉄道事業者は大都市にも鉄道運行のための比較的大規模な敷地を有しており、近年は高度な土地活用によって、その土地に新たなまちづくりの大型プロジェクトを推進している。
そして、その一環としてまちの拠点となる新駅が設置されている。鉄道グループ系デベロッパー以外の都市開発においても、より開発エリアの拠点性や利便性を上げるために、デベロッパーが請願して新駅が開発されている。
また、大都市圏のベッドタウンではもともと人口が少なく距離があいていた駅間のエリアでも居住者が増え、住民の利便性の面からも新駅の開設が望まれる案件が出ている。新駅が開業したことにより街に新しい人の流れが生まれ、人が集まる場所となり、駅周辺では商業施設やサービス施設、オフィス、ホテルなどの開発が促進される。拠点性が増し、さらに人を呼び込む効果も出てくる。
大都市圏のなかでもすでに人口減少が進展しているエリアがあり、エリア間競合が激化している状況だ。優位性を上げるためにも、地域では新駅の開発を推進したい思惑がある。鉄道グループとしても人口減少やリモートワークの普及などによって、将来的に運賃収入の維持が難しくなる公算があるなか、エキナカや駅ビルなどの商業開発による収入の位置づけ大きくなってきている。新駅によって駅利用者が増え、駅ビルやエキナカなどの商業開発が推進されることが期待される。
2000年代まではモータリゼーションの進展を背景に都市開発の軸足は郊外にあった。しかし
・地域での人口減少
・高齢化の進展/高齢者の運転免許の返納の促進
・カーボンニュートラルなどの環境問題
によって、モータリゼーションをベースにした都市開発の将来性は揺らいでいる。アーバンツーリズムの観点からも、都市の拠点となる駅や駅周辺開発の位置づけがより高まっていると言えるだろう。
開業は確定していないが都市計画上の新駅や請願中の駅も多く存在している。景気動向など不安材料はあるが、今後も各地で新駅や駅周辺の開発が進展していく可能性がある。