EVトラックに立ちはだかる「電欠」「再販価値」の壁、普及のカギはいったい何か? いすゞ「エルフEV」販売で考える

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いすゞ自動車(神奈川県横浜市)は3月7日、EVの小型トラック「エルフEV」の販売開始を発表した。同社初の試みとなる。EVトラックは普及するか。

EV化で気になる「走行性能」「操作性」

「エルフEV」(画像:いすゞ自動車)
「エルフEV」(画像:いすゞ自動車)

 いすゞ自動車(神奈川県横浜市)は3月7日、電気自動車(EV)の小型トラック「エルフEV」の販売開始を発表した。同社初の試みとなる。

 乗用車において、昨今、バッテリー式電気自動車の普及がそれなりに加速している。ただ、もうひとつの重要なカテゴリーであるトラックとなると、なかなか関連業界の思い通りには普及が進んでいないのが現状である。

 その背景には何があるのか。まずは、現時点でのEVトラックの得失を検証してみたい。

 トラックをEV化した場合、気になるのは

・走行性能
・操作性

が内燃機関とは大きく変わるのかということだ。ただ、少なくとも現時点で市販されている2トンクラスの場合、最高出力や最大トルクの数値に大きな違いはない。

 ただし、数値は同レベルでもトルク特性は電動モーターの方が発進時のトルクの立ち上がりが強力かつ素早いことから、短時間内でのゴーストップが多い市街地などでの配送業務上有利であると言ってよいだろう。

 また、トランスミッションがないことから基本的な操作も容易であるし、シフトチェンジ時のトルク抜けなどの心配もない。その上で電動モーターはディーゼルエンジンとは比較にならないレベルで静粛かつ低振動であり、ドライバーの疲労軽減という意味でも大きなメリットがある。騒音と振動が少ないということは、住宅地などでの夜間稼働などにも適している。

 走行性能に問題がなく、運転もしやすい。その上で周辺への騒音などの影響もほとんどない。都市部や市街地での運用にはまさに最適というべき性格を備えているのにもかかわらず普及が進まないのはなぜか。

 それはメリットの他に幾つかのデメリットが指摘されているがゆえである。