EVトラックに立ちはだかる「電欠」「再販価値」の壁、普及のカギはいったい何か? いすゞ「エルフEV」販売で考える

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いすゞ自動車(神奈川県横浜市)は3月7日、EVの小型トラック「エルフEV」の販売開始を発表した。同社初の試みとなる。EVトラックは普及するか。

航続距離という課題

eキャンター(画像:三菱ふそうトラック・バス)
eキャンター(画像:三菱ふそうトラック・バス)

 まず走行性能自体に問題がなくても、EVトラックは基本的に1回のフル充電で走ることができる航続距離が極めて短い。

 その具体的な航続距離は、走行する道路環境(勾配の多さなど)や使用状況(貨物の積載量など)によって大きく左右されるため、一概には言えないが、おおむね

「100km前後」

と言われている。これは現在EVトラックとして販売されている、いすゞエルフEV、三菱ふそうeキャンターのいずれも大差はない。日野デュトロZ EVは小口宅配に特化した低出力のウォークスルーバンとしたことから航続距離の面では優れているが、それでも150km程度と言われている。

 この数字はハッキリ言って物足りない。このレベルでは使用可能なのは小規模配送のみであり、それを前提としても午前中に配送業務を行った後に一度営業所に戻って急速充電を実施。その後に午後の配送業務に向かうといった使い方を余儀なくされるだろう。

 もちろん充電は出先にある街中の急速充電器でも可能だが、2トン車が充電できる駐車スペースを備えた設備となると現在の普及状況では十分ではなく、そこですぐに充電できる保証はない。仮に順番待ちともなれば運用上の時間的ロスが発生することとなる。

 EVトラックを運用する運送事業者にとって重要なのはトラックそのものの性能はもちろんなのだが、この効率的な運用が可能かどうかという点が最大の課題であると言っても過言ではないだろう。

 もちろん販売する側もそれは承知のことであり、導入に当たっては事前に事業者の車両運用パターンを十分に検証し、メリットがある場合のみに限定していると言う。ただ、それでも計画通りには行かないのがビジネス現場である。

 航続距離が短いというのは、たとえそれを想定した運用を心掛けていたとしても、例えば急な配送依頼や充電が十分ではない状態での運用、さらには現場での渋滞トラブルなどで航続距離ギリギリでの運用を強いられないとも限らない。内燃機関であればほとんど問題とならないことでも、EVでは運用上の大きな懸念になりかねないのである。

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