「脱中国」図る企業に突き付けられた現実! 代替国確保という難題、有力候補“インド”に潜む大きなリスクとは
米中対立や緊張が続く台湾情勢を受け、自動車メーカーなどモビリティ企業の間では「脱中国」を巡る動きが拡大しているが、その際の課題を解説する。
「実現不可能」の声も

まず、脱中国の難しさである。近年、米中経済デカップリングや台湾情勢など、中国に進出する日本企業を悩ます話題が尽きないが、今日においても、日本にとって中国は最大の貿易相手国であり、日本企業の進出先で長年トップだ。
中国は「世界の工場」としてその地位を築いてきた。しかし、経済的な台頭が顕著になるにつれ、米国との間であつれきが顕著に見られ始め、トランプ政権以降、米中の間では貿易摩擦が拡大し、現在ではテクノロジー覇権の戦いが激化している。
それに伴い、政治と経済の間でジレンマに陥る日本企業は増えていった。これまで、日中関係においては“政冷経熱”とよく言われてきたが、今後は“政冷経冷”になっていく可能性が懸念されている。
企業によって中国依存度が異なるので一概には言えないが、筆者(和田大樹、外交・安全保障研究者)周辺では
「脱中国とは言われるものの、代替国、代替手段を見つけることは簡単ではない」
「どこまで中国依存を減らしていくか答えが出ない」
「そもそもそれは実現不可能だ」
といった声も少なくない。
メディアでは脱中国を図る企業の動きが最近頻繁に報道されるが、脱中国の難しさに直面している企業も多いのだ。