戦車・戦艦好きでも反戦派? ネットにはびこる「ミリオタ = 右翼」説を一蹴する
マニアックな軍事情報をSNSで解説している「ミリオタ」。そんな彼らは一般的に「右翼的」と認識されているが、それは本当だろうか。
宮崎駿も「ミリオタ」?

2019年に刊行された、徳島大准教授の樋口直人氏らによる『ネット右翼とは何か』(青弓社)によると、ネット右翼(インターネット上で、右翼的な言動を展開する人たち)には特徴な趣味があるとしており、そのひとつに「ミリタリーオタク」を挙げている。
ようは、「左翼 = 反戦平和」という一般的イメージの対極に「右翼 = ミリオタ」を置いているのである。
しかし、ただこの方程式を素直に飲み込むわけにはいかない。ミリオタが右翼ではないと論じるとき、よく引き合いに出されるのが、日本の映画監督・アニメーターとして名高い宮崎駿氏である。
同氏は反戦、原発反対などのメッセージをこれまで訴えているが、同時に強烈なミリオタとしても知られている。
1992(平成4)年の著書『宮崎駿の雑想ノート』は、模型雑誌『月刊モデルグラフィックス』に不定期連載されたものから成っているが、そこには軍艦や戦車などに対する愛が徹底的に書き記されている。
反戦論者こそ軍事を学ぶ必要がある?

また、日本の安全保障戦略に異論を唱える左翼のなかには
「反対するために徹底的に研究している」
という人も多い。筆者がある政治家秘書に尋ねると、こんな話をしてくれた。
「きちんと反戦を主張しようとすると、自衛隊&米軍オタクになります。兵器や装備、戦略がいかに国民にとって無用のものかを研究しなくてはならないからです。ちなみに、私は『丸』を当然のように定期購読しています」
『丸』とは、現在は潮書房光人新社が発行している軍事専門の月刊誌だ。同誌のバックナンバーをひもとくと、自衛隊や日米安保に反対する「革新軍事評論家」など、左翼が執筆している論考も多い。
なにより戦後の日本では、左翼のほうが好戦的で、軍事に並々ならぬ関心を抱くミリオタだらけだった時期のほうが長い。