52歳で年収362万円 「自動車整備士」という現代の不遇、全国で相次ぐ不正車検もまずは待遇向上からだ
車社会に無くてはならない自動車整備士だが、職種の人気度は決して高いとは言えない。理由はシンプルで、労働が過酷な割に低賃金であるためだ。
業界の高齢化&低賃金
突然だが、あなたが愛車のヘッドライトが故障したとしよう。すぐにディーラーや修理工場に持ち込んで数日以内に解決すれば、それは幸運である。なぜなら、今やヘッドライトの故障だけでも、修理まで1か月待ちがザラだからだ。その背景には、車社会を支える自動車整備士の圧倒的な不足あった。
車社会に無くてはならない自動車整備士だが、職種の人気度は決して高いとは言えない。理由はシンプルで、労働が過酷な割に低賃金であるためだ。
では、自動車整備士の数は実際どの程度減っているのだろうか。それを教えてくれるのが、日本自動車整備振興会連合会が毎年実施している「自動車特定整備業実態調査」だ。
2023年1月に公表されたデータ(2022年6月末時点)によると、整備要員数は39万8952人で前年度より266人減少。整備士数も33万4319人で前年度より5274人減少した。
また整備要員の平均年齢も上がっている。平均年齢は46.4歳で、前年度よりも0.7歳の上昇となっている。この調査では一部のデータを
・専業
・兼業
・ディーラー
に分類しているが、三つのタイプで平均年齢の差が見られる。
ディーラーの平均年齢は36.4歳なのに対して、専業では51.8歳になっている。ディーラーに比べて、専業の整備要員は圧倒的に高齢化しているのだ。
続いて賃金だが、調査によれば整備要員年間平均給与は全体で平均398万7000円となっているものの、職場のタイプ別で見てみると、専業は
「362万4000円」
と低い。兼業は384万円で、ディーラーは468万5000円がそれぞれ平均だ。
同じ職種でも、
「どのような企業に属しているか」
によって、年間90万円以上の所得差が生まれているである。