東海道新幹線「倉見新駅」への高まる疑念! 膨大な建設費と開き過ぎた平塚・寒川のテンション、そもそも相模線複線化どうするのか
寒川町側の動きはなし

現在、物流施設の開業や小学校移転も実施され、目玉となる商業施設「ジ・アウトレット湘南平塚」は2023年春の開業を告知している。
この平塚市側での街づくりの進行を手がかりに、倉見地区での新駅の可能性が高まっているとされているわけだ。
ところが、駅が誘致される予定の寒川町側ではまったく動きは見られていない。
神奈川県が公開しているパンフレット「東海道新幹線新駅を寒川町倉見地区へ」を見れば、その理由は明らかである。
ここでは、2015年時点の航空写真を加工して「ツインシティ構想」を解説しているが、平塚市側の開発予定地の多くを田畑が占めているのに対して、寒川町側は宅地である。
「ツインシティ構想」だけではなく、新駅を誘致して周辺を開発するにも困難が予想される。宅地の少なかった1970年代とは、随分と事情が変わっているのだ。
開発の費用分担も課題

また、これらの開発の費用分担も今後の課題となる。
2003(平成15)年時点では
・新駅関連:約250億円
・新橋架橋:約300億円
となっている。このほか、周辺道路整備に数百億円が必要と見込まれている。
2015年3月に圏央道の一部を構成するさがみ縦貫道路が全通し、寒川北ICがあることからも道路整備は進んでいる。しかし、駅建設と架橋費用をどう捻出するかは未定のままだ。
さらに、新駅が建設されるとして利便性を確保するためには、相模線の複線化も求められる。これまでの誘致運動では、新駅が複線化実現へのはずみとなるとされてきた。ところが、相模原市へのリニア中央新幹線の新駅決定後も、複線化は具体化していない。
こうなると見切り発車で平塚市の開発のみが進んでいるように見るが、さがみ縦貫道の開通もあり、物流拠点の整備が進んだ大神地区は新駅がなくとも発展する要素がある。その点で、ひとまずはツインシティ構想の成否に拘泥せず開発を進めたのは、間違っていない。
果たして、この街づくりが新駅実現の一助になるのか、まだ状況は不透明だ。