JR西の長時間閉じ込め 「乗客を線路へ」なぜ即断できないのか
大雪の影響で、JR京都線の車内に乗客が最大10時間近く閉じ込められた。その背景を過去の列車事故から考える。
なぜ降りられない?
2023年1月24日からの記録的な寒波により、各地で大雪が降った。JR京都線は雪でポイントが作動しなくなり、高槻~山科間で15本の列車が立ち往生。乗客は混雑した車内に最大10時間近く閉じ込められ、複数の乗客が体調不良を訴えた。これに対しJR西日本は謝罪会見を開き、「夜間に雪が降る中で、乗客に列車から降りて歩いてもらうことにちゅうちょし、判断に時間がかかった」旨の説明をした。
今回は雪が原因であったが、同じように乗客が車内で長時間待機を余儀なくされ、その結果、体調不良者が出る事例は繰り返し発生している。原因は自然現象、車両故障、火災、停電、事故などさまざまだが、これらの突発的な出来事で列車が止まってしまった場合、乗客はなかなか降ろしてもらえない。全員が着席していてトイレの数も十分にある特急車両であれば、乗客の負担は許容範囲内かもしれないが、混雑した通勤電車の中に長時間閉じ込められれば、かなり体力を消耗するはずだ。
では、なぜこのような事例は繰り返されるのだろうか。この背景を探るために、過去に起きたいくつかの鉄道事故の事例を振り返りながら検討してみたい。