タクシー業界「EV」に熱視線、普及の壁高いのになぜ? 「パワー不足」という世間の妄言を糺す
電気自動車のメリットやデメリットに加え、市場に投入することでどのような影響があるのかについて、分かりやすく解説する。
急速充電スタンドの拡大、急がれる

では、EVの抱える課題とはどのようなものがあるのだろうか。まず挙げられるのは、充電インフラ設備の拡充だ。ガソリンスタンドは2020年度末時点で全国に2万9005カ所(経済産業省調べ)。一方、EVの充電スタンドは2万9233基(2020年データ、ゼンリン調べ)だが、そのうち急速充電に対応した充電スタンドは9000基に満たない。
ちなみに、急速充電の場合、約30分充電すると約160km走行できるのに対し、普通充電(コンセント・200V)では約7時間かかる。急速充電に対応した充電スタンドの設置が急がれるが、設備の本体価格が100万円以上(設置工事費別)と高く、設置拡大の妨げとなっている(普通充電の設備価格は数千円~数十万円ほど/いずれも経済産業省調べ)。
次に挙げられる課題は、電池そのものの性能向上だ。ガソリン車並みの航続可能距離を有する車種も存在するが、例えば筆者が試乗した軽EV「日産サクラ」の場合、普通充電で8時間、急速充電で約40分充電した際の走行可能距離は、最大180kmだ。買い物や近所のドライブなど短距離移動では問題ないが、一泊旅行などで長距離を運転するには不安が残る。
軽自動車なので、長距離移動をあまり想定していないのかもしれないが、EVとしては比較的安価な軽自動車こそ、航続可能距離を伸ばしてもらいたい。多くの人が低価格帯のEVの恩恵を受けられれば、普及が一段と加速するはずだ。