進むも地獄、退くも地獄 赤字ローカル線「存廃問題」が岸田内閣に突き付ける、沈黙の最後通告
JR西日本が発表した数字は2017年から19年までの3年間のため、コロナ禍による影響は反映されていない。それにも関わらず、発表された路線は深刻な赤字だった。
JR西日本の現状

こうした赤字路線の惨状は、鉄道関係者や沿線自治体の関係者、鉄道ファンなら暗黙の了解として知られていた。JR西日本の発表が衝撃的だったのは、それらの路線の窮状がコロナ禍で加速し、今後も収支が改善する見込みがないという点だった。つまり、収支を好転させる術は見当たらず、対策を打ちようがないのだ。
それでも、芸備線がある広島県広島市では芸備線の利用促進策を打ち出している。広島市が打ち出した取り組みのひとつは、駅に併設された駐車場を利用して芸備線を通勤に使ってもらおうというものだ。その場合、広島市が駐車場代を補助する。
これは「パークアンドライド」と呼ばれる施策で、諸外国でも公共交通機関を守る取り組みとして導入が進められている。また、パークアンドライドは、マイカーを市の中心部に流入させないといった効果があるため、渋滞の緩和やCO2の削減にも寄与する。
JR西日本が衝撃的な営業係数を発表して
「以降、ローカル線の利用促進策を打ち出す自治体は増えている。それでも打ち出した施策は少なく、予算規模も小さい。そのため、
「収支を改善するほどの効果は期待できない」
との声も聞かれる。また、
「そんな無駄な努力をせずに、さっさと廃線にしろ」
といった乱暴な意見するも散見される。
実際、日本全国には隅々まで道路ネットワークが整備されている。わざわざ莫大(ばくだい)な税金を投じてまで、鉄道の存続に固執する必要はない。赤字のローカル線をバスへと転換させる方が便利になる場合もある。鉄道路線の廃止・縮小やバス転換への後押しになったのは、岸田文雄内閣による地域公共交通再構築事業だ。