進むも地獄、退くも地獄 赤字ローカル線「存廃問題」が岸田内閣に突き付ける、沈黙の最後通告
JR西日本が発表した数字は2017年から19年までの3年間のため、コロナ禍による影響は反映されていない。それにも関わらず、発表された路線は深刻な赤字だった。
加速するバス転換

地域公共交通再構築事業は2023年度から本格的に取り組まれるが、内容は多岐にわたる。なかでも目玉とされるのが、鉄道路線の廃止・縮小、バス転換を議論するために設立される再構築協議会が法的に担保された点にある。
同協議会は鉄道事業者や沿線の自治体などで組織され、協議会で話し合われた再構築案をベースにして鉄道路線の存廃、代替交通が決められる仕組みだ。
これまでローカル線の廃止議論は、地方自治体が
「鉄道がなくなると、地域が寂れる」
といった主張がなされてきた。そうした主張には一理あるが、だからといって、自治体が積極的に利用者促進策を打ち出すことはなく、黒字転換を鉄道事業者任せにしてきた。また、自治体の財源で赤字の補填を言い出すこともなかった。
地方の公共交通再構築は待ったなしの状況にある。そのため、2022年度の第2次補正予算案にもローカル線再構築のための費用として約1063億円が盛り込まれた。2023年度予算は約50億円と少額となっているが、こうした取り組みによって
「赤字が続くローカル線をバス(BRT含む)への転換」
が加速することは間違いない。
同協議会は必ずしも鉄道路線の廃止・縮小を決める組織ではないとのことだが、鉄道事業者が赤字路線を縮小もしくは廃止、バス転換したいと申請することで、国が主導して再構築協議会が設立されるため、廃止・縮小、バス転換を話し合う協議会であることは疑いようがない。そこで導かれる結論は推して知るべし、だろう。