高齢の元トラックドライバー独白! 昭和・平成を疾走、「昔は荷主と助け合い」「今じゃタダ働き当たり前」 規制緩和が生み出したゆがんだ階級構造とは
牙をむいた規制緩和
いわゆる「お前の代わりはいくらでもいる」問題だろう。筆者は当媒体に
・下請けイジメ横行の運送業界 価格交渉すれば「代わりはいくらでもいる」と嘲笑、経産省「価格転嫁調査」でわかった“美しい国”ニッポンの現実(2023年2月12日配信)
・物流ドライバーの熟練テクを軽んじる荷主たち 「下請けの分際で」高齢社長の呆れた放言も、ホンネは「ドライバー様様」の痛々しい現実(2023年2月19日配信)
という記事を書いた。これについては別の取材でも、記事の感想としてもドライバーから多数の声が寄せられた。
「契約にないのに荷物を倉庫まで運べと言われた。「手運びは大変だろうからこのフォーク(リフト)使っていいよ」と言われたが納得できない。それでも運ぶしかなかった」
「業界内でもあまり信じてもらえないのですが、ドラッグストアで商品の陳列をさせられます。ええ、本当です。なぜ私がやるのか。もちろんタダ働きです」
「運んだ中古のバイクをあっちまで押して並べろと指示されました。それほどの数ではありませんでしたが、なぜ私が押すのか、これを倒したらどうなるんだろうとひやひやでした」
規制緩和で競争が激化し、さらに国の経済が停滞すると、おのずと力関係で弱い側にしわ寄せがくる。負担を押しつけられる。元オーナードライバーが続ける。
「荷主だけの問題じゃなくて、運送会社にも問題があった。やみくもに仕事をとってきて、ドライバーに低賃金で何でも押しつけた。「うちはもっと安くできます」「うちのドライバーは何でもします」と他より安く、無料サービスをこれでもかと付けて仕事をとってくる。(業界全体で)それを続けていたら、どこも安い仕事しかとれなくなって、何でも無料でサービスしないと「じゃ他で」となってしまった」
荷主も運送会社も1990年の規制緩和から30年あまり、こうしたことを繰り返したあげくに迫る日本の「物流崩壊」。30年間賃金の上がらなかった日本経済とそっくりそのまま当てはまる。
「自由化でよくなったこともあったが、現場にとっては悪いことばかりだった。悪い部分は直さなきゃいけない。よく報道されてる「2024年問題」は「問題」じゃなくて当たり前に戻るだけの話だと思う」