高齢の元トラックドライバー独白! 昭和・平成を疾走、「昔は荷主と助け合い」「今じゃタダ働き当たり前」 規制緩和が生み出したゆがんだ階級構造とは
トラックドライバーを取り巻く環境は昭和、平成、令和と大きく変化してきた。時代を駆け抜けてきた元オーナードライバーに話を聞いた。
「仕事に金が払われない」という悪習

いよいよ2024年、運転業務の年間時間外労働が960時間に制限される。ドライバーにこれまでのような過剰サービスを強いるどころか、このままでは運んでくれるドライバーを探すだけでも困難になる可能性が高い。
宅配事業、特に「送料無料」をうたうインターネットサービス企業はこれまで通りとはいかないだろう。いくら働いても「自己責任」の個人事業主を募る企業もあるが、それだけで日々の巨大通販事業を支えられるとは思えない。
「昔は運送会社や(オーナー)トラックドライバーが仕事を選べた。運びたくない荷主の荷物は拒否したし、あれやれこれやれも「で、いくら出すんだ」で済んだ。そういう時代に少しでも戻れば、ドライバーの苦労が報われる業界になるんじゃないか」
トラック業界に限らず「仕事に金が払われない」という悪習がまん延してしまった日本。本来やる契約も義理もない搬入、搬出や棚入れ、陳列に至るまで
「顧客サービス」
の名のもとに理不尽を強いられる。すべては現場に押しつけられる。そして現場に正当な金が下りてこない。
もう引退している身とはいえ、この国の物流を支えてきた元オーナードライバーは自分ごとのようにこう訴えた。
「トラックドライバーになる若者がいないって、当たり前ですよ。これで誰がやりますか。「代わりはいる」は私の代までに終わらせてほしい。仕事にお金がちゃんと払われる、令和はそういう時代にしてほしい」