宇都宮ライトレールは「単なる路面電車」を超越できるか? 総事業費は当初の1.5倍、度重なる開業先送り 難題を超えた先にある未来とは

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宇都宮ライトレールの建設が進んでいる。このこの新路線の意義とは何か。

ずれ込む全線開業

「芳賀・宇都宮LRT」の車両(画像:宇都宮ライトレール)
「芳賀・宇都宮LRT」の車両(画像:宇都宮ライトレール)

 栃木県宇都宮市と県中央東部に位置する芳賀町(はがまち)との間で、次世代型路面電車「芳賀・宇都宮LRT」(宇都宮ライトレール)の建設が進んでいる。6月18日には、運行される3両1編成の車両17本の整備が完了。報道陣に公開され、開通に向けて期待が高まっている。

 次世代型路面電車のメリットは、次のとおりだ(宇都宮市のウェブサイトから抜粋)。

・騒音や振動が少なく快適な心地
・車両の床が低く平らで、ホーム(乗り場)との間に段差や隙間がほとんどない
・専用レールを走るため、時間に正確な運行が可能
・洗練されたデザインは、「まちのシンボル」になる
・道路上を走るので、ほかの交通手段との連携がスムーズ

 しかし、2023年3月に予定されていた全線開業は遅れる見通しで、現在は部分開業も検討されている。今回は工事の遅れと今後の見通しをまとめた上で、この新路線の意義について記していきたい。

総事業費が当初の1.5倍に

 開業が予定よりずれ込んでいるのは、芳賀町との境界に近い宇都宮市の野高谷町(のごやまち)交差点での架橋工事が遅れているためだ。

 野高谷町交差点は宇都宮清原工業団地と芳賀工業団地に挟まれており、交通量が多い。さらに作業員不足も加わり、2022年5月時点で、予定より約3か月の遅れが生じている。

 その結果、全線を通して行われる予定だった試運転は2023年にずれ込む見通しとなった。試運転後の習熟期間とあわせて2~3か月を必要とするため、再延期と部分開業で調整されることに。

 宇都宮ライトレール、実は2021年2月にも

・軟弱地盤の強化
・電気/ガスなど埋設物の補償見直し
・新型コロナウイルス感染拡大による買収交渉の遅れ

などで、開業時期が1年先送りしているのだ。

 さらに、この時点で約226億円の追加負担が生じ、概算総事業費が当初見込みの1.5倍にあたる

「684億円」

に膨らむことも発表されたため、見通しが甘いという批判も出た。

 今回2回目となる開業延期は追加負担の関係上、市議会で今後議論されるが、延期期間の短さもあり、以前と比べて目立った批判はない。

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