F-22ラプターが撃墜した「中国気球」 その侵入目的は何か? 偵察にしては低い合理性、米右派シンクタンクも「気象観測気球」の論説
中国政府は、偵察気球とされる飛行物体が自国のものであることを認めているが、あくまで「民間の気球であり、不可抗力により米国空域に意図せず侵入した」と説明した。
米国本土を飛ぶ中国の気球

中国の偵察気球とされる飛行物体が米国上空を飛行していることが報じられ、大きな話題となった。2月4日には空軍のF-22戦闘機がそのひとつをカリフォルニア上空で撃墜に成功し、中国が抗議したという報道もあった。
問題の気球は、撮影された写真などから、3年ほど前に仙台上空などで目撃されたものと同種と考えられている。当時の気球が米国本土に到達していたかどうかは不明だが、既に当時から中国はこの気球を飛ばしていたことになる。
第2次大戦末期には、日本軍も爆発装置を取り付けた気球「ふ号」を本州海岸から放球し、米国本土で山火事や人的被害を引き起こすのに成功している。中国の気球もこれと同様、偏西風を利用して米国に到達したのだろう。
米国では今回の気球を「Spy Balloon(偵察気球)」としているが、中国がこうした気球を飛ばした意図は依然として不明である。しかし、旧日本軍が検討したように生物兵器などを搭載すれば、気球といえども危険な戦略兵器になり得る。従って、今回の気球がどんな用途であったにせよ、安全保障上は看過できない事態である。