MSJはなぜ「開発中止」に追い込まれたのか? 本当に日本の技術を憂うなら、まず製造国として型式証明を承認せよ
日本の国産旅客機スペースジェット開発に対して、ついに中止の決定が下された。もし、日本という国が将来の旅客機製造に希望をつなぐならば、今後どうすればよいのか。
後に残る技術を

MSJというプロジェクトが終わっても三菱重工業は存続し、ビジネスとしては投資が実を結ばなかった、というだけの話に終わってしまう。しかし、今後の日本にとって重要なのは、このMSJプロジェクトによって得た教訓や技術的な成果を、
「どのように次世代につなげていくか」
である。
企業にはMSJ開発に携わった多くの技術者が残り、実用化の段階まで育てた技術が残る。実用航空機の開発は、20年あるいは30年に一度という非常に限られた機会である。そこで育った技術者が次世代に技術を継承しなければ、その先の未来はない。
現在の航空機産業界においては、かつて日本が依存してきた米国からの技術導入という手段は、ほとんど望めなくなっている。従って、たとえ最終製品として完成を見なかった技術であっても、粘り強く継承して育てていくことが必要だ。
MSJ開発で獲得した新技術としては、尾翼構造に用いられた低コスト複合材技術A-VaRTMや、低燃費、低騒音技術などが代表例だが、その他にも先進的な加工技術、設計最適化技術などは、数多くのノウハウは今後の航空機開発に向けて重要なリソースになる。
これらの基礎技術は、防衛装備庁と石川島播磨重工が開発したXF9エンジンの技術と並び、航空自衛隊向け次期戦闘機F-Xの国際共同開発において、日本のバーゲニング・パワーとなり得るし、将来のボーイング旅客機などで下請け生産に生かされる可能性も持っているほか、
「自動車産業などへのスピンオフ」
も期待できる。