鉄道会社が加速させた80~90年代「スキーブーム」 ゲレンデに“恋の嵐”が吹き荒れたッ! 魔法をかけたのは誰? 「それはJR SKISKIです」
スキーバスを利用したカップル
2023年も2月に入って1年で一番寒い季節を迎え、今はスキーシーズンの真っただ中である。わが国ではバブル期に空前のスキーブームが訪れており、多くの若者が週末にはこぞってゲレンデを目指した。当時、スキーは若者を中心にした定番スポーツレジャーであった。このような一大ブームが形成されたことには、大手交通機関の戦略が大きく影響している。
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スキー場は山間部に位置するため都市部とは距離的に離れており、広域交通機関を利用することが前提となる。自家用車での利用が多く、週末になるとスキー場へむかう高速自動車道はスキー客の車が集中してひどい渋滞と化した。
・湯沢スキー場
・上越国際スキー場
・苗場スキー場
など、沿線に人気スキー場を擁する関越自動車道はその最たるもので、関越トンネルあたりまでは車がほぼ動かない状態が延々と続いた。仕事が終わった金曜日の夜から出発して徹夜でドライブ、早朝に到着して車内で仮眠、土曜日の朝からスキーを初めて日帰りで帰るか1泊して日曜日に帰るパターンが多く、長時間の渋滞を運転する人の負担は大きかったと言える。
友人グループやカップルではスキーバスを利用する人が多かった。スキーバスはスキー場への直通深夜バスで、往復のバスとホテル・ペンションなどの宿泊、リフト券などがセットになったツアー商品である。座席間が狭くて寝苦しいことはあったが、車内で睡眠がとれることは楽だった。
手軽で利便性がよく、価格も割安感があって人気があり、当時のスキーブームをけん引した交通手段と言える。深夜の都心ターミナルの集合ポイントには何台ものスキーバスが連なる光景が見られた。しかし、高速自動車道の渋滞に巻き込まれることは自家用車と同じで、スキーシーズン最盛期にはサービスエリアの女子トイレの前に長蛇の列ができていた。