「3歳児直撃」で死亡の悲劇も なぜ大型トラックの車輪脱落事故は防げないのか?
大型トラックのタイヤが外れ、転がっていくニュースの映像を見たことはないだろうか。過去には死亡事故もあった車輪脱落事故について、原因と対策を考える。
経年劣化や「過信」も影響か

次のデータは、車両の年数ごとの脱落事故の数だが、登録から5年経過が44件で8年が86件と多くなる。このことから、ホイールナットボルトのさびや破損、経年劣化なども関係している可能性がある。
そして「どこで、誰が」タイヤ交換をしたかだが、自動車整備事業者が19%、タイヤ専業店等が28%、大型車ユーザーが52%と、ユーザーが半数以上を占めている。この数字は、国内の輸送事業者の場合、中小企業が大半で、車両1台につき1人のドライバーが管理するケースが多く、故障などはディーラーや整備工場に任せるものの、運行前点検や車両の日常管理はドライバー自身が行うことが多いからだろう。
プロドライバーの多くは危険性を認知し、タイヤ交換時の最終確認はしているはずだが、事故は起こっている。やはり人為的な要因が大きいように感じる。「一度取り付ければ大丈夫」「しっかり取り付ければ大丈夫」と過信することが事故につながることは少なからずあると思う。取り付け後、金属同士がなじんでからのホイールナットの再確認を、プロドライバーや整備士の皆さんはぜひ実施していただきたい。
このような事故を減らすため、国交省をはじめ日本自動車工業会や全日本トラック協会、日本バス協会、日本自動車タイヤ協会、その他団体を交え、原因究明のための検討会も開催されている。
最後に、日本の経済と物流を支えているトラック・バス業界は、深刻な人手不足となっている。そんな中、報道でこのような車輪脱落事故が流れ、さらに担い手が少なくなることは、業界の損失であると考える。少しでも事故を減らせるよう、関係するすべての人々の認識を高める必要があると言えよう。