「3歳児直撃」で死亡の悲劇も なぜ大型トラックの車輪脱落事故は防げないのか?
大型トラックのタイヤが外れ、転がっていくニュースの映像を見たことはないだろうか。過去には死亡事故もあった車輪脱落事故について、原因と対策を考える。
冬タイヤへ交換後、急増

次に、2021年度の月別事故発生状況を見ると、スタッドレスタイヤへの交換時期の11月が12件、12月が40件、1月が23件と、11~1月が多く、中でも12月の事故発生件数が飛び抜けて高くなっている。このことから、冬タイヤに交換する際のホイール取り付け時に人為的なミスがあり、事故につながっているとも考えられる。
大型車のスチールホイールのホイールナットは、乗用車の5倍ほどの高いトルクをかけて締め付けられている。車両メーカーやタイヤメーカーも適正トルクでの使用を推奨していて、装着にはインパクトレンチでの最終取り付けはせず、トルクレンチを用いてホイールナットのトルク管理をするように注意喚起している。整備士も承知のはずだが、それだけ高いトルクで締め込んでも、緩んだり破損したりといった事故が後を絶たない。
単純なことだが、1度目の交換より、2度目3度目とタイヤ交換を行えば、ネジのピッチ(ネジ山)の破損度は上がるだろうし、作業時のコスト上、ホイールナットは交換してもハブボルトまで定期的に交換する輸送会社が少ないのも事実で、破損の危険性は高まる。