走るエンタメ「AFEELA」の衝撃 自動運転普及でドライバーの「退屈」は本当に癒されるのか?

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ソニーにとって自動車はどういうものであると捉えているのか。また、自動車業界はエンタメ化が進んでいくのか、考察していこう。

同様の試みは他メーカーも

進化する車両内のエンタメコンテンツ(画像:写真AC)
進化する車両内のエンタメコンテンツ(画像:写真AC)

 自動車業界にエンタメ要素を加えて、ユーザーを楽しませる試みを行っているのは、ソニーだけではない。

 ドイツのメーカーであるアウディは、2022年2月に米国の大手通信事業者であるベライゾン・コミュニケーションズと提携し、5G通信を利用したシステムを導入することを決定した。先進運転支援システムだけでなく、高速の車内Wi-Fiを設けることで同乗者にも快適なコンテンツを提供できるようになる。

 米国CNET社の報道によると、アウディはディズニー社とパートナーシップを結び、将来的に自動運転中におけるVR体験など独自コンテンツの提供を行い、実用化を目指しているという。

 さらに、カーナビ業界最大手のパイオニアは2013年にNTTドコモと連携し、「docomo in Car Connect」(月額550円~)というサービスを開始した。このサービスは、パイオニア製品のカーナビもしくは一部の日産車両に対応しており、LTEのデータ回線を活用し、車内Wi-Fiを制限なく利用できるサービスである。

 これらのメーカー以外にも、米国のアップル社や台湾の鴻海(ホンハイ)など、異業種の自動車業界参入が続々と発表され、EVを中心にますます自動車業界がにぎわうだろう。

エンタメ化の理由

続々と登場する自動運転車(画像:写真AC)
続々と登場する自動運転車(画像:写真AC)

 ソニーのみならず、各自動車メーカーのみならず異業種メーカーも参入し、エンタメ要素で差別化を計ろうとしているのはなぜだろうか。答えのカギは、近年進化し続けている「自動車の自動運転化」だ。

 米国の自動車技術会(SAE)が策定した基準によると、自動運転レベルは0~5に区切られており、日本では2020年4月から、高速道路などの一定条件下で自動運転できる「レベル3」が許可されている。

 しかし、完全運転が実現するうえでデメリットもある。移動時間においてはドライバーを含め同乗者は、外の景観を眺めたり会話を楽しんだりすることはできる。しかしいずれも

「退屈」

だ。

 完全自動運転が実現すると、ドライバーの存在や運転免許が不要になると言われているなか、「車内でどれほど快適に楽しく過ごせるかどうか」というポイントが、自動車のエンタメ化が進む要因になっているのではないか。

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