配達員をいまだ苦しめるマスク対応クレーム、しかも最近は「付けるな」の“逆マスク警察”も登場していた!
いまだ、「マスク警察」に悩まされる配達員たち。その実情とは。
エッセンシャルワーカーに感謝を

先のレアケースという点では、別の都下でネット宅配の請負業務に携わるドライバーからも珍しい話を聞いた。
「お客は本当いろいろですから、マスクにうるさい人なんてもう慣れましたし、マスクしていればいいだけですからね。でも驚いたのがノーマスクの人に「マスクする必要ないだろ」と言われたことですね。いや、その人に私が「マスクしろ」とか言ったわけじゃなくて、マスクして車内で休んでたら私が言われたんですけどね。単にとるのが面倒だっただけですけど、じゃあどっちにすればいいんだろうと考え込んじゃいました」
結論は「深く考えない」ということで、本当にこの3年、彼らエッセンシャルワーカーには感謝しかないし、申し訳なく思う。
マスクをする、しないは防疫や衛生の問題だけでなく、互いの主義や正義もマスクのする、しないに投影されてきた。その渦中に翻弄(ほんろう)されてきたのは宅配便のドライバーも含めたエッセンシャルワーカーの人たちだ。私たちの「当たり前」は彼らに支えられて「当たり前」になっている。
「マスクをする、しないでもめない日が早く来るといいんですけどね」
これは多くのドライバーから3年間、筆者が聞き続けた本音である。ウィズ・コロナは相互の監視ではなく
「相互の寛容」
によって成り立つ。マスクでの作業、特に夏場のマスクは本当に厳しく、宅配ドライバーは100個、200個を1日で運ぶ。その中の1個はときに、私たちの1個でもある。重ねるが、彼らエッセンシャルワーカーは私たちの日常を当たり前にしてくれているのであって、決して個人の「お気持ち」をぶつける対象ではないのだ。