車両はタクシー、でも名前は「コミュニティーバス」 なぜこんな珍現象が香川県で起きたのか?
香川県高松市で、2022年12月からコミュニティーバスの試験運行が始まった。公共交通機関の失われた地域に登場した、新たな生活の足である。ところが、なんと使用しているのがバスではなくタクシーなのだ。
“バス”という名の黒色タクシー

既存の概念が揺らぐ――。
香川県高松市で、2022年12月からコミュニティーバスの試験運行が始まった。公共交通機関の失われた地域に登場した、新たな生活の足である。ところが、なんと使用しているのがバスではなくタクシーなのだ。
このコミュニティーバスが導入されたのは、高松市の多肥・仏生山(ぶっしょうざん)地区だ。地域には琴平電鉄が走っているものの、モータリゼーションの進展から1998(平成10)年に路線バスが廃止された。駅近くを除けば、公共交通機関が皆無なのである。
ところが、高齢化の進行により運転免許を返納した住民から生活の足を求める声が広がり、コミュニティーバスの導入が決定した。利用状況を鑑みて、地元タクシー会社の中型タクシー(定員4人)1台での運行となった。
試験運行は平日のみの1日4往復で、運賃は中学生以上が200円、子どもと障害者が100円に設定されている。試験運行期間は2年で、運賃収入で
「運行経費の20%」
を賄えた場合、本格運行へ移行する。
4人乗りの、よくある黒色のタクシー車両を使用しているにもかかわらず、コミュニティーバスを名乗るのは違和感がある。かつ、公共交通機関の再導入にしてはあまりに小さなスタートだ。