山陰本線から交通革命が起こる? 自治体団結「交通連合」、ローカル線を救うため事業者依存から脱却だ
山陰本線利用促進のワーキングチーム検討会で、兵庫県養父市が交通連合の設立を提案した。ドイツで公共交通維持に向け導入されている組織だが、日本初の導入は実現するのか。
ドイツでは公共交通維持の力に

交通連合は運輸連合とも呼ばれ、ドイツで採用されている。公共交通機関全体の運行計画を策定し、
・共通運賃の導入
・路線やダイヤの調整
などを進める組織で、赤字の交通事業者が過度の負担を強いられることを避けながら、自治体関与で公共交通の維持を図るのが狙いだ。
日本では独占禁止法に抵触するとして2020年の法改正まで実現できなかった。このため、これまで熊本市などで路線バス会社同士が共同経営するぐらいしか類似例がなく、実現すれば国内初になるという。
交通連合とは何か

交通連合について調査を実施してきた交通経済研究所(東京都新宿区)によると、ドイツでの第1号は1965年、ハンブルグで誕生した。当時、ハンブルグは高架鉄道やバス路線の営業距離を3.5倍に広げたが、輸送人員は5%減少していた。国民にマイカーが広がり、強力な競争相手に浮上してきたからだ。
危機感を覚えたハンブルグ高架鉄道が市内の交通事業者に運行一元化や共通運賃制度導入を要請したのをきっかけに、世界初の「ハンブルグ運輸連合」が生まれた。その後、交通連合は旧西ドイツ各地に広がり、現在は旧東ドイツにも拡大、60余りが運営されている。
大都市圏だけでなく、地方でも設立されてきた。規模の大小、細かな規約もそれぞれで多少の違いが見られるが、公共交通間の競争を避けて利用者サービスを強化している点は共通している。
利用促進に向けた取り組みとしては、観光客向けに主要観光スポットの割引サービスとセットにした乗車券を販売するほか、一般市民向けとして公共交通に
・カーシェアリング
・レンタサイクル
・タクシー
などのサービスを加えてラストワンマイル(客に物・サービスが到達する最後の接点)の解消に努めるなど、それぞれが工夫を凝らしている。