「ビッグスクーター」のブームはなぜ終わったのか? かつては累計10万台ヒットも、復活のカギはどこにあるのか
ビッグスクーターの弱点

ビッグスクーターは高速安定性と積載性にたけているが、弱点も存在する。それは、車体が比較的大きいがゆえの
「取り回しのしにくさ」
があることだ。
ヤマハの現行型ビックスクーター「XMAX ABS」を例に出すと、サイズは2185mm(全長)×775mm(全幅)×1415mm(全高)。一方で同じヤマハから販売している同排気量フルカウルバイク「YZF-R25 ABS」を見ると、2090mm(全長)×730mm(全幅)×1140mm(全高)で、「XMAX ABS」の方が一回り大きいサイズとなっている。
車両重量も、XMAXが179kgであるのに対し、YZF-R25 ABS は169kgと10kgの差が。400cc以上の大型であれば200kgを超えるバイクもあり、筋力にあまり自信がないライダーにとっては扱いが難しい可能性も出てくる。
このようにビッグスクーターの弱点が、ユーザーに認識され始めたのもあるが、
・バイク本体の価格高騰
・若者のバイク離れ
もビッグスクーターのブームが衰退してしまった原因に関連している。
価格高騰の原因

各バイクメーカーが軒並み新型のビッグスクーターを発売したことにより、市場において価格競争が激化。
ブームの先駆けとなったヤマハ「マジェスティ」においても、1995(平成7)年8月に販売された第1世代はメーカー希望小売価格が47万9000円(税込み)であったのに対し、1999年9月に販売された第2世代は54万9000円(税込み)に値上がりした。
この値上がりには、当時最新鋭の装備を備えたほか、新しい排ガス規制対応の新型エンジンを搭載したことによる影響も考えられる。
ブームが衰退したもうひとつの原因である若者のバイク離れに関して言えば、2006年の道路交通法改正が大きいかもしれない。当時騒音や過度なカスタム、運転マナーが悪いライダーの増加により、国や地域で駐車禁止の取り締まりが強化されたのだった――。
価格競争や新たな排ガス規制に伴うバイクの価格高騰、そして道路交通法による取り締まり強化も相まって、ビッグスクーターを所有するユーザーが徐々に減少。2010年以降はビッグスクーターの売れ行きが落ち着きを取り戻し、ブームの終焉を迎えてしまったのだ。