次世代型電動車いすで病室へ…国内初・病棟内を自動運転 業務効率化や安全性など検証へ
国立成育医療研究センターとWHILLが、産科病棟内で次世代型電動車いすの自動運転システムの実証実験を開始。出産後の患者を病室へ自動運転で搬送し、医療スタッフの業務効率化や搬送の安全性・快適性を検証する。
病棟内での次世代電動車いすの活用は国内初
国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)とWHILL(ウィル)が、産科の患者を病室へ自動運転で移動させるシステムの実証実験を始めた。
WHILLによると、これまで病院外来や空港などでの活用事例はあったが、病棟内での利用は国内初という。
実証実験は、デザイン性と走破性に優れたWHILL製のパーソナルモビリティ(次世代型電動車いす)を使用。自動運転に対応させ、複数の機体を管理・運用するプログラムと組み合わせた「WHILL自動運転システム」を運用する。
あらかじめ収集した地図情報とセンサー群で検知した周囲の状況とを照らし合わせて自動走行し、さらに自動運転により無人で返却することも可能としている。
出産直後の患者がLDR(陣痛・分娩・回復室)から病室に戻る際、体の痛みなどから車いすを使うことが多い。このとき医療スタッフが車いすを押しているが、あわせて新生児を乗せたカートや患者の荷物を運ぶ作業もあり大きな業務負荷になっているという。
今回の実証実験では、WHILL自動運転システムを産科病棟に取り入れ、出産後の患者をLDRから病室の前まで自動運転で搬送。その後はナースステーション前の保管場所まで無人運転で戻るようにする。これにより、業務効率化や移動時の安全性・快適性などを検証する。
将来的にはシステムの利用範囲を拡張し、現在の「病室前まで」から「病室内まで」自動運転で入っていくシステムを構築することを検討するとしている。