なぜタクシーには似たような車両が多いのか? 近年変化も、その実情とは

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街中のタクシーをよく見てみると、どの会社も似ている気。実際、ネット上では、「以前はトヨタのクラウンコンフォートばかりだった」という声も。

ガソリンより約3割安いLPG

似たタクシーが並ぶ(画像:写真AC)
似たタクシーが並ぶ(画像:写真AC)

 街中のタクシーをよく見てみると、どの会社も似たような車種を使っていることに気づく。実際、インターネット上では、「以前はトヨタ(自動車)のクラウンコンフォートばかりだった」という声もある。というわけで、今回は日本のタクシー業界事情と訪れる逆風についても解説する。

 日本のタクシーのうち、トヨタの

「クラウンコンフォート」
「コンフォート」

は9割に近いシェアを占めてきた。まさにタクシーの代表といえるが、一体なぜなのか。クラウンコンフォートの燃料は液化石油ガス(LPG)で、一般車のようなガソリンや軽油ではなく、一般家庭でも使用されるプロパンガスと同じものだ。

 石油価格を調査している石油情報センターの資料によると、地域にもよるが、LPGは一般的にガソリンより約3割安く販売されている。満タン状態での走行距離はディーゼル車とほぼ変わらないため、コスト面で大きなメリットがあるのだ。ランニングコストが軽減できれば利益に直結する。そのほかにも

・ガソリン車と比べてCO2を削減できる
・ディーゼル車と比べて騒音や振動が少ない

などさまざまなメリットがある。

 それだけのメリットがありながら、なぜ自家用車に普及しなかったのか。それは

・出力(パワー)が弱い
・LPGスタンドが少ない
・トランク内に燃料のタンクが必要でスペースが圧迫される

などのデメリットがあったためだ。また、燃料タンクは定期的な点検が必要なため、自家用車ではコストパフォーマンスが悪い。

 これらの理由から、走行距離が長くなりがちなタクシーや、教習車といった限られた業界で圧倒的なシェアを誇ってきたのだ。

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