なぜタクシーには似たような車両が多いのか? 近年変化も、その実情とは

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街中のタクシーをよく見てみると、どの会社も似ている気。実際、ネット上では、「以前はトヨタのクラウンコンフォートばかりだった」という声も。

タクシー業界に求められる「近代化」

新しく登場したジャパンタクシー(画像:トヨタ自動車)
新しく登場したジャパンタクシー(画像:トヨタ自動車)

 タクシー業界としても、環境面への配慮の重要性は十分に理解している。加えて、無線やメーターの標準装備など「タクシー仕様」の車が必要になることから、どうあってもメーカーに依存せざる得ない事情がある。

 EVは確かに燃料が安いものの、車両価格の平均が500~600万円で必要とする母数の多いタクシー業界には手痛い出費だ。さらに、連続走行距離がガソリン車に比べて短く、大型バッテリー搭載であっても約450km程度。ガソリン車の多くが500kmを超えていることを考えると、1日の走行距離が長いタクシーとしては現実的ではない。

 EVの供給ステーションはまだ充実しておらず、充電できる場所が少ないのも問題だろう。現状では、クラウンコンフォートの生産終了後もEVへの切り替えではなく、トヨタが2017年から発売を開始したジャパンタクシーなど「タクシー仕様」のハイブリッド車が人気なようだ。

 LPG燃料を継続使用し、高耐久で軽量なハイブリッド。走行距離は1Lあたり16.8kmで、優れた燃費性能やランニングコストの低減がいかに重要視されているかがわかる。さらにユニバーサルデザインや安全性能も向上し、新たなタクシーの定番となる勢いだ。

 現に日本交通では、2020年に直営業所のタクシー車両1500台をジャパンタクシーに切り替えたと発表した。タクシー業界にEVの波が訪れるのは、まだ先のことになりそうだ。

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