なぜタクシーには似たような車両が多いのか? 近年変化も、その実情とは
街中のタクシーをよく見てみると、どの会社も似ている気。実際、ネット上では、「以前はトヨタのクラウンコンフォートばかりだった」という声も。
逆風が吹くLPG車
不動の人気を誇ってきたトヨタのLPG車だが、昨今、その人気に逆風が吹いている。
政府の掲げる「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の影響で、自動車分野では乗用車・商用車いずれも新車の発売について電動車100%を実現することが目標とされている。「環境に優しい」といわれていたLPG車だが、EV台頭の波を受けて非常に厳しい状況に陥っている。
LPGステーションはもともと少なかったが、2016年度の時点で10年前に比べて約14%減少するなど、年々減少傾向にある。実際、大手タクシー会社に勤めるドライバーに聞いたところ、「LPGスタンドの減少を体感している」という。さらに、
「燃料が補給できなければ活動範囲も絞られてくるため、収入が減ってしまうドライバーもいる。地域によってはサービスステーションの営業時間も縮小傾向にあるので、おのずとタクシードライバーの営業時間も短くなっている」
と近況を語っていた。
LPGスタンドの減少だけではない。トヨタは2018年にコンフォートシリーズの生産を終了。タクシー車両の規制緩和もあり、プリウスやセダンなど従来のコンフォートシリーズ以外の車も参入するようになった。
今後、新車の製造がEVに限定されていく以上、自動車メーカーとしては当然の判断だが、多くのメリットからLPG車を選んできたタクシー業界はどのように現状を受け止めているのだろうか。